スーパーマリオサンシャイン

マリオらしさとは?

その高いゲーム性で、3Dアクションゲームとして抜きん出た存在の『スーパーマリオサンシャイン』。では、なぜ、ユーザーの評価は低かったのか?

ゲーム出身のスーパースター

 スーパーマリオといえば、たとえゲームのことをろくに知らない高齢者でも、その姿を描いた絵を見せれば、「ああ、マリオね」とわかるほどのスーパースターだ。ゲーム出身のキャラクターで、これほどの知名度を誇るのは、彼ひとりだけだ。

 マリオが長い間人気キャラクターであり続けることができたのは、彼の出演するゲームがどれもおもしろかったからという、単純な理由によるものだ。テレビゲームのおもしろさを世に知らしめた『スーパーマリオブラザーズ』から、3Dアクションゲームの地平を切り開いた『スーパーマリオ64』に至るまで、ゲームが新しい進歩を遂げるときには、必ず赤い帽子のヒゲ親父の姿があったといっても過言ではない。

 『スーパーマリオサンシャイン』は、そんなマリオシリーズの正統続編として発売された。そして、そのゲーム性の高さは、マリオの名を冠するにふさわしいものだった。

 広くもなく、かつ、せまくもないステージ。易しくもなく、かつ、難しくもない難易度。このあたりのバランスは、さすがはゲーム職人任天堂の仕事だけあって、凡百の3Dアクションゲームとは、一線を画する出来映えになっている。

マリオのようでマリオでない?

 にもかかわらず、この『スーパーマリオサンシャイン』は、主に古くからのマリオファンたちの間で、必ずしも評価が高くなかった。

 中でも多くきかれた意見が、そのゲーム性の高さは認めつつも、「なんだかマリオらしくない」というものだ。では、いったいどのあたりがマリオらしくないのか、この点についてはいまだファンたちの間でもコンセンサスが取れていないのだが、私が考えるに、次の二カ所がこれまでのシリーズと大きく異なっていた。

 ひとつは、「ポンプアクション」の導入で、シンプルな操作性が特徴だったマリオシリーズにしては、操作が煩雑なこと。そしてもうひとつは、(こちらの方がより重要だが)冒険の舞台が、これまでとはまったく異質なものだったということだ。

 マリオの冒険する場所といえば、火山地帯や洞窟、海中など、あまり生活感のない人跡未踏の地がほとんどだった。しかし、今作の舞台は高級リゾート地であり、高級ホテルやテーマパークが営業していたりする。だから、そんなステージをいくら縦横に駆け回ってみても、これまでのような冒険の緊張感を感じられず、保養地で羽を伸ばして遊び回っているようにしか見えないのだ。

 冒険してこそなんぼのマリオが、冒険しているように見えないのでは、多くの人たちが「マリオらしくない」と感じたのも、無理のないところだ。

労働階級の星

 べつの言い方をするならば、「溶岩面や、雪原面や、水中面や、洞窟面のないマリオなんて!」ということだ。灼熱の溶岩地帯や極寒の雪原、そして、奇妙な生物の跋扈する洞窟を、己の身ひとつでつきすすむマリオの冒険が、『スーパーマリオサンシャイン』では見られなかった。肝心なゲームとしての出来映えが非常に良かっただけに、もしもこの点がなければ、ファンの間での評価も変わっていたかもしれない。

 それでも、かつて『マリオストーリー』のCMで、「ゴルフやパーティーにかまけて冒険を忘れていた」と、素直に反省の言葉を語ったマリオのことだから、次作ではおそらく、原点に立ち返った冒険を見せてくれるのではないだろうか。

 ちなみに、マリオの本職は配管工。もちろん今ではショウビズ界で成功しているとはいえ、労働者階級としての出自が、彼の原点のはずだ。

 金持ちの集う高級ホテルやリゾートビーチなど、彼の冒険の舞台にふさわしくない。

(4/7/2004)

『スーパーマリオサンシャイン』ニンテンドーゲームキューブ
発売元:任天堂
おすすめ度:★★★★☆